【DAY1】10月10日(水)宮古→釜石
【DAY2】10月11日(木)釜石→気仙沼
【DAY3】10月12日(金)気仙沼→女川
【DAY4】10月13日(土)女川→仙台
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【DAY1】10月10日(水)宮古→釜石
【プロローグ】
社長(66)がジジイツーリングがしたいと言い出した。自分と同じ世代のジジイと一緒にのんびり旅がしたいらしい。ジジイっすか・・・。
60代でジジイは早いと思ったが社長が自分で言った以上、今回はジジイという事にしよう。
相方は旅仲間で最年長72歳の村田さんの顔が思い浮かぶ。その旨を村田さんに伝え、お誘いすると、快く参加表明をしていただけた。こうしてジジイのカードが揃ったのである。
今回の行先は東日本大震災で甚大な被害を受けた宮古から塩釜までの太平洋沿いだ。いままでも同ルートのツーリングを企画したが震災以降、海沿いの道が断たれ、自転車で走ることが困難であった。現在ではツールド東北などのイベントも開催されるほどに道が復旧し、我々のようなホビーツーリストでも走れるようになってきている。
あれから8年の時が経ちどれほど復興しているのだろうか。さぁジジイツーリングの始まりである。
【登場人物】
社長(66)
村田さん(72)
【2018年10月10日(水) 宮古〜釜石】
企業戦士が続々とはき出されていくツーキンラッシュの上野駅。この時間帯でも東北新幹線の構内は空いている。村田さんは集合時間の30分以上前から上野駅に到着していた。ジジイは朝が得意である。とにかく遅刻の心配がないから安心だ。
上野発7:42のはやぶさに乗り盛岡駅を目指す。社長は今回のツーリングでなるべく多くの港に立ち寄りたいと言っていた。漁船や船舶を確認する事によりその土地の復興の目安になるという。
盛岡駅到着。ジジイツーリングの始まりだ。
ジジイ一行は昼過ぎに宮古駅に到着し、駅前の「魚彩亭すみよし」さんで予約してあった「タラ弁当」を購入し浄土ヶ浜で食べる事にした。ここ浄土ヶ浜は宮古の代表的な景勝地であり日本の水浴場88選にも選ばれている。白い流紋岩が空を目指すように天高く突き出し、リトルエベレストのような景観だ。
昔のお坊さんがこの地を訪れた際に「さながら極楽浄土のごとし」と感嘆したことから名付けられたと言われている。今では白い砂浜も復活してるが、この美しいビーチにも津波が襲いかかったのだ。震災直後の資料を見てみるとビーチは瓦礫の山で埋め尽くされていた。この風景の復活には相当な苦労があったはずだ。弁当を食べ終え、宮古の街が更なる復興を遂げるよう願い釜石に向けて出発する。
村田さんが現役の頃、土木技術者兼現場監督としてプールやアミューズメントパークの建設で日本中を飛び回っていたようだ。阪神淡路大震災の時も現地に視察に行ったという。そんな村田さんが驚いていたのは、太平洋沿いに続々と作られている巨大な防潮堤だ。高さと厚み、そして巨大な扉は誰も寄せつけない灰色の要塞をイメージさせる。防潮堤は津波の襲来を防ぐものではなく、襲来を数分遅らせるものであると胸に刻みたい。その数分でなるべく高台へ避難してほしい。
目視で9mくらい。厚みは3mくらいあったような気がする。
防潮堤を眺めながら45号を南下し山田八幡宮に向かう。なぜかその先の「道の駅やまだ」に辿り着き、ずいぶん通り過ぎた事に気づく。これだからぼくを含めて歳をとるのは嫌だと本気で思った瞬間であった。道の駅では巨大なリンゴにタラ、旬の秋刀魚などが並び今晩のおつまみにと江戸時代より愛される岩手県名産の「山田せんべい」を購入した。
かつて山田町は昭和62年の商業捕鯨が禁止になるまでは捕鯨が盛んな街であったようだ。道の駅やまだの、ほぼ向かい側にある「鯨と海の科学館」では、山田町の捕鯨ルーツを伝えるとともに、世界中にも類を見ない17.6mのマッコウクジラの骨格標本が展示されている。鯨と海の科学館も津波で壊滅状態になってしまったが、天井から吊り下げられていた骨格標本が無事であった事から、もう一度再開できると確信し、館長の思いと町民の努力が2017年7月にようやく施設を再スタートさせたのである。次回はきっと鯨と海の科学館にも立ち寄りたい。
さて時刻も夕暮れ。来た道を泣く泣く戻り、山田八幡宮に到着する。
山田八幡宮は高台にあり津波の被害を免れる事ができたようだが町は津波と火災により広範囲にわたって甚大な被害を受けてしまった。かつての昭和三陸地震、チリ地震、東日本大震災でもおそらく津波の被害を免れている山田八幡宮。ここでも町や人々の復興を静かに祈るのであった。
鳥居より先は津波により流されてしまい道も建物も新しく、更地も多い。
高台に鎮座する山田八幡宮。町の復興を静かに祈る。
本日は「サンルート釜石」さんに宿泊だ。ビジネスホテルは洗濯機や乾燥機などが常備されているからありがたい。サラリーマンだけでなくツーリストも、うんと利用しやすいのである。
「1階部分まで津波が来たのです」とホテルマンから話を聞く。
ジジイ一行はチェックインを済ませ、近所の居酒屋「海舟」さんへ入り釜石のグルメを堪能する。海舟さんは新しいお店と思いきや、津波で店を流されてしまい新しく再オープンをされたようだ。さっそく旬の秋刀魚を頂く。女将さんおススメで秋刀魚の生と炙りの食べ比べもしたがどちらも旨い。甲乙つけがたい・・・完敗である。手のひらサイズの巨大ホタテはインパクトもさることながら抜群の甘みが口いっぱいに広がった。
旬の秋刀魚は格別!炙りも◎
手のひらサイズのホタテは大きさと甘さのインパクトが半端ない。
どんこの昆布締め。東北地方で多く獲れる深海魚。
どうやら明日は一日中雨のようだ・・・。ジジイにとっては辛い一日になる事必至である。
そしてジジイは美味そうに酒を呑む。
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海は奪うだけでなく、海の幸も与えてくれる。
自然と漁師に感謝しながら、ジジイと一緒に酒を飲み交わす。
次回、DAY2釜石〜気仙沼編。
また時間のある時に書きたいと思う。
text/photo rocky
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