自転車遊びの基本というのは、輪行にあることは
もう言わずと知れた事実ですが、
まだまだ輪行は難しいものだと思われている方が多いのも、また事実。
特に、女性のかたに。
今回ご紹介するのは、その女性に難しい輪行を、
「やり方をおぼえる」のではなく、
「私たちでも、輪行しやすい自転車を作っちゃう!」
という方法で、クリアしようとしている女性、そして
それを手伝う、天才自転車ビルダーのお話。
そもそもは、身長153センチの女性、Kco(ケーコ)さんの
わがままから始まったようです。
『長い距離を乗れない、そして
自転車を輪行すると大きくて重くて運べない
背の低い女性(私?)のための、
輪行しやすい自転車を作って欲しい』と
あるビルダーに頼みました。
Kcoさんと、そのフレームビルダーの方は、
今年1月に行われた、『ハンドメードバイクショー』で出会ったそう。
http://keiko616.blog117.fc2.com/blog-entry-9.html
ブログも行きましたよ。これですな。
http://rinprojectnews.blogspot.com/2010/02/blog-post_22.html
で、その天才ビルダーとは。
![2008-10-18 11-35-11](https://lh3.googleusercontent.com/blogger_img_proxy/AEn0k_vL269Mh886VGpsQv4mKDJRI01gtDKzgBIa2QIoSXr7BHR-P9YX5QGElgLjLY3-W_OYZBQjqVyPSXRhTRNHy3TzUK_d0ZeelkhLtF9rO2dsUAGlWvTv9euqBfW_uhKPAPJ9Ww=s0-d)
シルクサイクルズの荒井さん。
![2010-11-06 15-35-46](https://lh3.googleusercontent.com/blogger_img_proxy/AEn0k_s-6QiKUH13zTJgwulFFiC4kJJfY76Hb6srHhVhQpWmsktzf6GXASb3gSJqo29-hQMRykvahZDSbqSG2fGFu2JMTfZRK_M6IUfYnhm71Y7ldH3avUFnS7AwFwmtqKRiJmw=s0-d)
ジャイアント・ジャパンの取締役として活躍していた時に、
名作折り畳み自転車として、世界中で長く売られている
<
MR-4>を作った荒井さん。
でも、本当に作りたかったのは、この700C サイズの折りたたみなんだって。
これも見てみて。荒井さんの天才っぷりが見てわかるから。
http://www.cyclowired.jp/?q=node/16801
http://www.cyclowired.jp/?q=node/17467
さて、話を、女性用の輪行自転車、
その名も『ポーターシルク406』に
もどしましょう。
そのコンセプトなど詳しくは、
http://keiko616.blog117.fc2.com/blog-entry-178.html
こちらのホームページに載っています。
『簡単に折り畳めて、
キャリーバッグのように転がせる
持ち歩かなくてもいい、
軽い、自転車』というのが、その意訳。
ところが肝心な、どうやって折り畳めるのか、という
ところが、うまいこと書かれていない。
そこで、「いったい、荒井さんは、
どんなものを、作ったの!?」というのを知りたくて、
実際にお会いして、折り畳む様子を、
見せてもらうことにしたのです。
いや、これが、いたって、簡単。
折り畳んだ状態から、自転車に戻るまでの過程を。
![2010-12-14 21-12-35](https://lh3.googleusercontent.com/blogger_img_proxy/AEn0k_tI2E5X-pZzHgtaZE9YcySoNBuABmWnfIIWN58pE19v3zqI-0WgsdtdV3MegJxkA-5tGlKJhlTQx2PI0ZyuQNMuQmr4uHhe25i55vqoqvZ8ZHX4vDSZudfHEJq2YjFYae0=s0-d)
フレームの中に『挟まれていた』前輪を引き出し、
フォークの下の部分を、ヘッドチューブに入れる。
![2010-12-14 21-12-37](https://lh3.googleusercontent.com/blogger_img_proxy/AEn0k_u78D4CC-ZOE5mzO-lGhoxllCmtRY8qwDUHFPVMabcpcXpg8MD37QtKU4xb9_OPfVcQxIjnl0dh_faUvLZpAXn-39vzm2L7_zY2ssNu4sQPF-ZWvgjq6nAMUCODVK8gTw0=s0-d)
そして、ステムを差し込んだら、
![2010-12-14 21-13-45](https://lh3.googleusercontent.com/blogger_img_proxy/AEn0k_voPxCqwZa9E-bfVbrpCDWKdl2Sv61Ub7lyYFcbnZ9UYCxF5cQeEoBj6ckMo6qgnGod5VIY1pPkEWqGWw-REpD9a4lHrsjc85NmTxZ__JBXtj3wuqax-4QmB6ehwkrnssw=s0-d)
このグルグルタイプの取っ手を使って、
![2010-12-14 21-13-07](https://lh3.googleusercontent.com/blogger_img_proxy/AEn0k_t-S_0sOTAibG7dSw6TNZqd3CEX8_BsbW1nVqgu54deoPb73tH_0yy2JzQo-7yqCh1oK6g9Z0-tANfYOKFSDKj3MOvnJptpjzJUPPbhHbsNVO7Xhw8gNPGef2ip1I7vIoo=s0-d)
グルグルグルグル、と締める締める。
![2010-12-14 21-14-53](https://lh3.googleusercontent.com/blogger_img_proxy/AEn0k_s6m25LCLRaHLvOTKAwLp1TfRw8pkw_9nPO0zPvsMXHmusqoryslyYB6kLmcfDG0gXzezeSD1FoNxnjJYSREa0KZUR6y72oSBpOXyYusRYl6LnBYLd90bbjWC5ZcphPo2w=s0-d)
あとは、いすを調整したら、完成。
以上です。チェーンに触ることもなく、
手が汚れることもなく。
これが、荒井さんの考える、女性のための、輪行自転車。
グルグル取っ手、ってのがいいよねー。
初めて見たとき、大声で笑っちゃいました。
アーレンキーじゃないんだー、って。
そう、アーレンキーじゃないんだよ。これ、本当に大切。
![2010-12-14 21-14-34](https://lh3.googleusercontent.com/blogger_img_proxy/AEn0k_uRVTQeodQML7YaPy9b0_N6JSgEebf-N64Tzvz1522fEM0jrNJ-Dtt5Rfdpf6rr5UFnky-40iJhqOagzGHJJICgEc5UA1tUyVVZNgD3TfYmi_LfOgu2KzJf9pyyFJGj7UI=s0-d)
フレームが、こういう複雑な形をしているのも、
フォークを抜いた前輪ごと、このフレームの間に挟み込むからなのです。
その必要があって、こういう形をしています。
で、実際に乗ってみました。しっかり走ります。
スチール製で、フレームに折れ曲がる箇所がないので、
当たり前ですが、ものすごく、しっかりとした乗り心地です。
それなのに、ダウンチューブとチェーンステーが生み出す
振動吸収感がかなりいい感じ。細かな振動を吸収しつつ
大きな振動では大きくゆったりしなるという、
鉄フレームならではの乗り心地。
フレームが折れ曲がるタイプの折りたたみ自転車にありがちな
フワフワする感覚とアルミのキチキチした感じがないのも
好印象でした。
![2010-12-14 21-36-26](https://lh3.googleusercontent.com/blogger_img_proxy/AEn0k_vBE62gcseWOoG5ihaxqIqbR_3gVLlQFCWaOYEyQubs0Hh1D7rV9PK_uWS2ieYucpgnUWP4avP7yMZD6yUVGUFiB63hHmOSsroV5EnZlD-iLDX9BQoCw0SmHLZsXSZvYA=s0-d)
しかも、軽いのです。そして、薄いのです。
女性でも、軽々持てます。人ごみの中でも、
薄いので、あまり邪魔になりません。
これからの改良点としては、
1)袋がかわいくないので、もっとかわいくする。
2)後輪のブレーキをワンタッチで止まるようにして、電車の中で、立てて持っておけるようにする。
の2つ。
![2010-12-14 21-29-40](https://lh3.googleusercontent.com/blogger_img_proxy/AEn0k_ue_GnYrG0d2mkSvhR-3m8R0WbaF848_cfIMJBJemJaFEamVsFRTBlxMt3bO3Jw-Orvpw5p99c-I9Q950jDbXtewtZ7A4yZJvDECLbrVrDoYThxqmWCxYSYiYDipkKK8w=s0-d)
伝統ある『シルク』のヘッドマーク、
そして『片倉シルク』のステッカーも
張られています。
シルクサイクルズと言えば、『片倉シルク』に代表される
ノスタルジーを求めるファンも多いみたいです。
でも、昔のシルクサイクルのイメージを懐かしむ、というより、
荒井さんの、伝統を大切にした先鋭アバンギャルド=天才っぷりこそ
高く評価されるべきだと思います。
自転車は、最近の人が、最近の乗り方に会わせて
伝統と知識と経験に基づいて作ったものの乗り味が、
やっぱり気持ちいいんですよ。自転車の物理は変わらなくても、
人の乗り方は、時代によって、変わっていますから。
自転車は、見た目でもブランドでも素材でもなく、
乗ったときの乗り味、そして使い勝手がどうなのか、
というところが、一番重要なのですね。
特に自転車の画一化が進む最近は。
繰り返しますが、このグルグル取っ手だけで
自転車が輪行できてしまうというのが、すばらしい。
![SN3J0024](https://lh3.googleusercontent.com/blogger_img_proxy/AEn0k_sTSXBY2s5cOhxvzZJOjqmZUBt6A6wTiC1KVdOGGj54N6j0xJtrhOKkfRSy1DOHsXPKU8Xu1G3zaso6ly9KirdivChM92eIX8Jm2ULWakRdReWmYFspfSA9YDixr-IUBIc=s0-d)
これが、現在、『
世田谷ものづくり学校』内にある、
<R自転車集団>の工房。
今年の頭までこちらにアトリエを構え、
『トールバイクの作り方』みたいなことを教えたり
自転車の販売をしていたのですが、
現在は、自転車のメンテや修理などのワークショップのみを
行う場となっているようです。
『トールバイク』ってのは、その名の通り、
![DSC_4803](https://lh3.googleusercontent.com/blogger_img_proxy/AEn0k_vUMhSQu1HVOC3-9qa-PRoIkAZrF0q4Zlk6ZgJBMJ47KsFX_poKXeLVL9NlDisXVTSBqXGhTKs-0FJ1o2YnQk7FwuFPFpkbhJYNGtTMUAUrPoNDtcleTUc76QGopcJ8fyI=s0-d)
こんなぐあいに、背の高い自転車のこと。
(これは、シアトルで見かけたトールバイク)
2台のフレームをつぎはぎして作る
おかしな自転車です。
ごくたまに、見かけますよね。
乗った友達いわく、「けっこう普通に走りますよ」だって。
そろそろ、日本の雑誌とかでも
取り上げられるようになると思います。
![2010-12-14 21-28-39](https://lh3.googleusercontent.com/blogger_img_proxy/AEn0k_skftFxH6QKfxwHZU20E2yE0UIBbv8o_YR0Pkj_C0VNkZmlbuktLXTeZbFdo4jU8s7ERGGEnE4AU2q5toAfDhPm3dVKU160cNGI8covomBd67lvVJJJK38-Jxl-0CtF4SA=s0-d)
ん? なんか思い出したぞ、
このフォークのやり方、どこかで見たことあるなと思ったら、
![2010-01-16 13-41-51](https://lh3.googleusercontent.com/blogger_img_proxy/AEn0k_s_l0tcyrtUPrm0NeSSnhYQZbDhblr4T42Uy9GwmA2NQIQ4KhoD-hgDXPetQ8RfgC8qNX6JFO1yQvh4_84XsGcw4GzwwoIAN2671S1wa3pQrjFFp_nbsKlvemDzYES4X_A=s0-d)
今年の2月、日本の『ハンドメードバイクショー』で、
荒井さんが講義をしたときに、
http://rinprojectnews.blogspot.com/2010/02/blog-post_22.html
![2010-01-16 13-41-36](https://lh3.googleusercontent.com/blogger_img_proxy/AEn0k_ufDx_G0oepr88mR_EksDMLvnynkXf_nFGp1c5WZSvXkbbucBHnjCFhEVW52EEsl0yKZ3y3CIe5Wke6PX80AvNpPVG7FNz_ytvXtzUX6FGBgYJ2iY2rX27_QG8gQ4sczv8=s0-d)
これだっ! そういえば、見てたっ! 知ってたっ!
ステムのクランプボルトを、
女性にもなじみのある
グルグル取っ手にしちゃったってのが、
さすが荒井さん。
と、後で荒井さんに言ったら
『そうだよ、いいだろ、これだけで、
ぜんぶ済んじゃうんだぜ』
って。
まさに天才の天才たるゆえん。頭の中身がいい意味でへん。
お問い合わせは、
シルクサイクルズ、あるいは
r-girlsまで。
Kcoさんに、そして荒井さんの作品に引き合わせてくれた、
stk(サトコ)さんに、あらためてTHANKS!