2010/08/06

FAQ; リンプロは、なんで綿なの?

よく、ご質問頂きます。

「リンプロジェクトの製品は、なんで、綿/コットンばかりなの?
 カジュアルとはいえ、自転車ウェアなんだから、
  もっと高機能素材とか、速乾の化学繊維とか
   そういうのを、どうして使わないの?」

おす。それではリンプロ代表、山田より
お答えいたしましょう。どうぞ。

2008-05-24 07-02-22
「ボクが、化学繊維を着るのが、嫌いだからです」

まあまあ、それはわかりますけど。

もう少し具体的に、わかりやすく言ってください。

「化繊を着てると、カユくなってくるんだよね」

はい、その方が分かりやすい。
で、なぜ化繊を着ていると、カユくなるのか。

というのをなんとなく、説明してみようと思います。
それは、繊維レベルの話になります。

ここで、いろんな繊維の拡大写真を見て下さい。


こんな感じ。今どきは、こんな写真がウェブにも
転がっているので、グーグル先生ありがとうです。
なんか、著作権的に問題あったら、ご連絡下さい。
すぐ引っ込めます。

で、左から2番目が、綿(コットン)。
一番左が、化学繊維の代表、ボリエステルです。

大きな違いはなんでしょう。そう、綿は繊維の表面が
うねうねしていて、ポリエステルは、表面がツルツルです。



さて、綿というのは、繊維自体が水を吸収するという
性質を持っています。そのため、一度水を吸うと、
繊維自体が乾くまでに時間がかかるので、いつまでも
しっとり湿っている、という感じになります。

また、水分を吸うと、綿繊維は太くなるので、
繊維同士の間にある空間が小さくなり、風通しが悪くなって
乾きも遅くなるという、いわゆる悪循環が起こります。



一方の化学繊維は、繊維自体が、いわばプラスティックの
超細いもの、みたいなものなので、全く水分を吸わない。

でも、繊維を織って生地に、つまり平たい布にするときに
織り方を工夫すると、織った繊維同士の隙間に水分が入りやすくなる。
これが、吸水性が高い理由です。

そして、繊維自体が水を全く吸わないので、
繊維は濡れることなく、水分は、体温の上昇や
風が通ることで、乾きます。
だから、いつでも、さらっと乾いた着心地。


2010-06-19 12-48-46

なーのーでーすーがー。

化学繊維の、ツルツルな表面、というのが、
このお話の、核となります。

綿繊維の表面はデコボコしています。
このデコボコが、水分はもちろん、
皮脂、つまり汗や肌の表面にある脂分を、
まあなんというか、吸うというか、
デコボコの間に溜めるというか。

ということで、綿を着て汗をかくと、
綿繊維は、水分と脂分を同時に吸い取ってくれるのです。

一方。化学繊維は、表面がツルツルで、
繊維自体も、なにも吸わないプラスティックの兄弟。
なにも吸わないので、乾きは速いのですが、
皮脂も吸わない。じゃあ吸われなかった皮脂は
どこに残るかというと?

そう。肌の上。肌の、上に。

一番わかりやすいのは、
化繊の速乾ソックスと
綿主体のソックスと一日履き比べたとき。
特に、皮脂の分泌が多い男性諸君は、
ソックスを脱いだときの、ネチネチ感が
全然違うのに、気がつくはずです。

吸湿速乾のサイクルジャージを着て、
一日走った後、肌がなんだか
綿のTシャツを着ていたあとよりも、
ネチネチしているのがわかるはずです。

それは、汗をいっぱいかいたから、ではありません。
化繊を着ていたから、なのです。たぶん。

この、綿を着ていれば吸収されていたはずの
余分な皮脂が、吸われず肌の上に残り、それが
化繊生地と肌の間でうにゃうにゃされることで、
特に、肌が敏感な方は、かゆみとして感じられるのではと。
あるいは、化繊自体の張りが、皮脂がネチネチして
柔らかくなった肌に、強く感じて、かゆみになるのではと。

リンプロジェクトは、そう信じているので、
石油から作られた繊維を身にまとうのではなく、
できるかぎり、天然素材である綿を着たいと思うのです。


それが、リンプロジェクト(=山田)が
綿主体の アパレルに こだわる
理由です。


汗で濡れても、着替を持っていればオッケー。
綿を着ていると、あんまり良くないかも、という場合には、
ウールのアンダーを使っています。



右から2番目のウール繊維も、そんなわけで、
皮脂を溜め込んでくれてる気がします。

アウトドアウェアのアンダーウェアの流行は、
昨今、ウールであると聞きます。
それももしかしたら、こんな理由が
元になっているのかもしれません。

もちろん、登山やバックカントリーなど、
一歩間違えば大変間違ってしまいそうな極限状態では
化繊が確実なんでしょうけれども、
我々、軟弱リンプロジェクト野郎どもは、
そんなところには、あまり、行きませんからね。