よく、ご質問頂きます。
「リンプロジェクトの製品は、なんで、綿/コットンばかりなの?
カジュアルとはいえ、自転車ウェアなんだから、
もっと高機能素材とか、速乾の化学繊維とか
そういうのを、どうして使わないの?」
おす。それではリンプロ代表、山田より
お答えいたしましょう。どうぞ。
「ボクが、化学繊維を着るのが、嫌いだからです」
まあまあ、それはわかりますけど。
もう少し具体的に、わかりやすく言ってください。
「化繊を着てると、カユくなってくるんだよね」
はい、その方が分かりやすい。
で、なぜ化繊を着ていると、カユくなるのか。
というのをなんとなく、説明してみようと思います。
それは、繊維レベルの話になります。
ここで、いろんな繊維の拡大写真を見て下さい。
こんな感じ。今どきは、こんな写真がウェブにも
転がっているので、グーグル先生ありがとうです。
なんか、著作権的に問題あったら、ご連絡下さい。
すぐ引っ込めます。
で、左から2番目が、綿(コットン)。
一番左が、化学繊維の代表、ボリエステルです。
大きな違いはなんでしょう。そう、綿は繊維の表面が
うねうねしていて、ポリエステルは、表面がツルツルです。
さて、綿というのは、繊維自体が水を吸収するという
性質を持っています。そのため、一度水を吸うと、
繊維自体が乾くまでに時間がかかるので、いつまでも
しっとり湿っている、という感じになります。
また、水分を吸うと、綿繊維は太くなるので、
繊維同士の間にある空間が小さくなり、風通しが悪くなって
乾きも遅くなるという、いわゆる悪循環が起こります。
一方の化学繊維は、繊維自体が、いわばプラスティックの
超細いもの、みたいなものなので、全く水分を吸わない。
でも、繊維を織って生地に、つまり平たい布にするときに
織り方を工夫すると、織った繊維同士の隙間に水分が入りやすくなる。
これが、吸水性が高い理由です。
そして、繊維自体が水を全く吸わないので、
繊維は濡れることなく、水分は、体温の上昇や
風が通ることで、乾きます。
だから、いつでも、さらっと乾いた着心地。
なーのーでーすーがー。
化学繊維の、ツルツルな表面、というのが、
このお話の、核となります。
綿繊維の表面はデコボコしています。
このデコボコが、水分はもちろん、
皮脂、つまり汗や肌の表面にある脂分を、
まあなんというか、吸うというか、
デコボコの間に溜めるというか。
ということで、綿を着て汗をかくと、
綿繊維は、水分と脂分を同時に吸い取ってくれるのです。
一方。化学繊維は、表面がツルツルで、
繊維自体も、なにも吸わないプラスティックの兄弟。
なにも吸わないので、乾きは速いのですが、
皮脂も吸わない。じゃあ吸われなかった皮脂は
どこに残るかというと?
そう。肌の上。肌の、上に。
一番わかりやすいのは、
化繊の速乾ソックスと
綿主体のソックスと一日履き比べたとき。
特に、皮脂の分泌が多い男性諸君は、
ソックスを脱いだときの、ネチネチ感が
全然違うのに、気がつくはずです。
吸湿速乾のサイクルジャージを着て、
一日走った後、肌がなんだか
綿のTシャツを着ていたあとよりも、
ネチネチしているのがわかるはずです。
それは、汗をいっぱいかいたから、ではありません。
化繊を着ていたから、なのです。たぶん。
この、綿を着ていれば吸収されていたはずの
余分な皮脂が、吸われず肌の上に残り、それが
化繊生地と肌の間でうにゃうにゃされることで、
特に、肌が敏感な方は、かゆみとして感じられるのではと。
あるいは、化繊自体の張りが、皮脂がネチネチして
柔らかくなった肌に、強く感じて、かゆみになるのではと。
リンプロジェクトは、そう信じているので、
石油から作られた繊維を身にまとうのではなく、
できるかぎり、天然素材である綿を着たいと思うのです。
それが、リンプロジェクト(=山田)が
綿主体の アパレルに こだわる
理由です。
汗で濡れても、着替を持っていればオッケー。
綿を着ていると、あんまり良くないかも、という場合には、
ウールのアンダーを使っています。
右から2番目のウール繊維も、そんなわけで、
皮脂を溜め込んでくれてる気がします。
アウトドアウェアのアンダーウェアの流行は、
昨今、ウールであると聞きます。
それももしかしたら、こんな理由が
元になっているのかもしれません。
もちろん、登山やバックカントリーなど、
一歩間違えば大変間違ってしまいそうな極限状態では
化繊が確実なんでしょうけれども、
我々、軟弱リンプロジェクト野郎どもは、
そんなところには、あまり、行きませんからね。