2019/08/30

最終回【東北三陸ジジイツーリング】DAY4 女川〜仙台編

2018年10月10日(水)〜13日(土)にジジイと一緒に旅した東北三陸ツーリングの記録をここに少しずつ書いていきたいと思う。

【DAY1】10月10日(水)宮古→釜石
【DAY2】10月11日(木)釜石→気仙沼
【DAY3】10月12日(金)気仙沼→女川
【DAY4】10月13日(土)女川→仙台

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【DAY4】 2018年10月13日(土)女川→仙台

目を覚ますと万石浦に反射する朝日が差し込み、秋晴れを喜ぶジジイの笑顔が部屋中に満ち溢れていた。本日は仙台駅までのラストランである。めんたいこ食べ放題の朝食を済ませ、最終日の切なさを胸に抱きつつ出発する。

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秋晴れスマイル。

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演歌のCDジャケットみたいになったが、AM8:00出発。

社長が「万石浦と太平洋を結ぶ極端に細い水路を見たい」と言うので398号から2号に左折すると早速釣り人がイシガレイを釣り上げているところだった。

大きなイシガレイに社長も村田さんもしばし感心していた。ぼくは心の中で"マジ食いてぇ"と思ったが、幸いなことに昼飯で食べる事になる。

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"マジ食いてぇ" さすがに声に出しては言えなかった。

ジジイ一行は来た道を戻り240号から石巻魚市場へと向かった。津波で全壊した魚市場は2015年9月に新たな施設として運用開始となり、その建物の長さは約880mで世界最大級という。漁船も多く停泊し、この時に感じた魚市場がやたら長いという印象はその為だった。

さらに石巻は世界三大漁場の1つである三陸・金華山沖を漁場に持ちリアス式海岸である事と、暖流と寒流が交差する地点でもある事からさまざまな魚が豊富に獲れるそうだ。再開までの苦労は計り知れないが石巻は世界に誇れる海と一緒に復興を目指していた。

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世界最大級の石巻魚市場。写真じゃわかりにくいがとにかく長い。

このまま240号をまっすぐ進み航空自衛隊松島基地に向かおうとするが、バイパスのような道になってしまったので慌てて柵を乗り越え側道に避難した。復旧作業が続く東北地方は道路地図が追いついていない場所が多く存在するので注意したい。

仕方なく舗装前のグラベルロードを走り、398号に戻り『石ノ森萬画館』へ立ち寄った。遠くから見ると川の真ん中に宇宙船がでーんと鎮座しているようだった。

萬画館は特に女性を中心とするファンが多くジジイ二人は妙に異彩を放っていた。また石巻市街は石ノ森先生のアニメキャラクターがあっちにもこっちにも設置されている。マンホールにもだ。ファンにはたまらないだろう。もちろんぼくもであるが。

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復旧作業が続く道がまだまだ多い。腰に伝わるバイブスが非常に辛い場面も。

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旧北上川の中州に停泊している宇宙船。今にも飛んでいきそうな迫力だ。

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ロボコンとシャチョコン。なんだかいい感じだ。

市街地を抜け、247号北上運河沿いに入ると久しぶりにザ・ツーリング的な気持ちのいい道を走る事ができた。いまでも復旧作業が続く東北地方は○○工事と掲げたトラックが頻繁に走っている。車もトラックも少ない道は4日目にして初めてであった。

ここで社長スピーカーのスイッチが入る。ポチッとな!!

「キタァノォ〜♪」

アッパー系演歌で村田さんも体を揺らしガン盛り上がりだ。
運河を進むカヌーを横目にマシンを漕ぐ。

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航空自衛隊松島基地が見えてきたがブルーインパルスの姿が見えない。そもそも遠くて何も見えない。予想はしていたが少々残念であった。

しかしグーグルマップによるとこの先の鹿妻駅前にブルーインパルスが展示されているではありませんか!ぼくもガン盛り上がりでマシンを漕ぐ。

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95年まで実際に飛んでいたブルーインパルス。本日は宇宙船も飛行機も見れてロッキー感激。

45号の1本海側の道は枝豆畑が広がり気持ちよく走っていると一つの記念碑が立っていた。そこには「ここにも津波は来る。まずは高台へ・・・。」と記されていた。

松島基地も28機の航空機が流されてしまったが基地司令で早々に屋上に避難し全隊員が助かったという。松島基地を題材にした小説でも読んだが、もはや機体よりも隊員の命を優先した指令をぼくはただただ嬉しく思う。

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辺り一帯が枝豆畑の広々とした開放感いっぱいの空間。枝豆"マジ食いてぇ"

社長とぼくは2度目の奥松島である。6年前は海にトラックやショベルカー、建物が海に沈んでいたが今では撤去され道も綺麗になっていた。奥松島パークライン沿いに永遠とも思える瓦礫の山も無くなっていた。釣り人や海外からの観光客も多く、賑わいを取り戻していた。そして釣り人はイシガレイを釣っていたのである。

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【6年前の奥松島パークラインの写真】
今ではこの場所も釣り人で賑わっていた。

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【6年前の奥松島パークラインの写真】
終の見えない瓦礫の山が悲惨な光景だった。

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奥松島パークラインで見かけたグッドネイチャー。

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大きなカレイを釣り上げニンマリ。"マジ食いてぇ"

今回も大高森に登る。標高106mの大した高さではないが自転車で走ってきたジジイにはきついだろう。社長は足腰が強いのか誰よりも早くシャキシャキと登る。

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社長は登山家のご夫婦に「お若いですねぇ」と褒められていた。約15分で頂上に到着し、第一声は、やはり「ああ松島や」である。絶景なのだ。

6年前と変わった景色は瓦礫が無くなり防潮堤の整備が進んでいた事である。率直な感想は、復興には大変な時間がかかるという事だ。

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膝にくる下山が最も大変だったことは言うまでもない。

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震災から8年経った今も復旧作業が続く奥松島パークライン。

ジジイ一行は登山でハンガーノック状態の為、6年前のツーリングでもお食事をした福浦島入口付近にある「活魚の宿こちら丸特漁業部」さんへ向かった。
ここで頂いた刺身が旨かったのでまたいつか来たいね、と言っていた海鮮居酒屋である。

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青いラインが津波で浸水した高さだそうだ。

メニューを開くなり「親方おすすめランチ特大カレイの唐揚げと海鮮丼」が目に飛び込んできた。散々旨そうなカレイを見てきたら、これにするしかないではないか。全会一致である。

出てきたカレイは30cmほどあり骨までバリバリいただける。身も厚くバリフワという表現が正しいだろうか。バブル世代のジジイがかぶりつく様は体力の衰えを全く感じさず現役バリバリの肉食系男子を彷彿させた。そして海鮮丼もぺろりと食らう。

デザートにアイスをほおばる村田さんはやはりバブルを生きた漢である。

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特大カレイの唐揚げとミニではない海鮮丼。すごいボリュームだ。"マジで早く食いてぇ"

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バリバリの現役社長は骨までバリバリと喰らう。

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華麗にカレイにかぶりつく村田さん。

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福浦島をバックに食後のアイスを頬張る村田さん。この時ばかりはゆるふわである。

お腹も満たされ45号を南下し塩釜魚市場を経由しマリンゲート塩釜へと向かった。多くの遊覧船がプカプカと浮いているのどかな風景を2階の喫茶店でコーヒーを飲みながら眺めていた。そしてこの2階付近まで津波が押し寄せたとは信じられないが事実である。

マリンゲート塩釜の真横に遊覧船が停泊しているが、この遊覧船は津波襲来時に桟橋に係留していたにも関わらず漂流を免れている。

その答えは浮桟橋だったからだそうだ。マリンゲートの2階から撮影された動画では津波襲来時1階付近に見えていた遊覧船は津波が高くなるにつれ桟橋とともに浮上しているのが良く分かる。

かわいい鳳凰や龍、お洒落なガラス張りの遊覧船。これからもたくさんの観光客を楽しませてほしいと願い仙台駅へと向かう。

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この桟橋が津波襲来と同時に船と一緒に浮き上がってきた動画が印象的だった。

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個人的に乗ってみたい鳳凰丸。なんてオシャレなんでしょう。

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旅の最後に多くの会話は必要ない。それぞれが今回の旅で感じた思いを胸に抱き
静かなコーヒータイムが過ぎていった。





新幹線の時刻には余裕を持って仙台駅に到着する事ができた。

駅前のトヨタレンタリースでハイエースを返却し、ぼくたちは自転車とツーリングの終わりを告げる切ない気持ちを輪行袋に詰め込む。

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楽しくも切ない旅が終わり輪行作業をする社長。

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19:30発のはやぶさに乗り東京へ。

思えば2011年の東日本大震災以降、ぼくたちリンプロジェクトは日本橋〜日光東照宮、宇都宮〜仙台、福島〜茨城、青森〜仙台を4回に分けツーリングを実施している。ぼくたちが自転車でできる復興のお手伝いはツーリングを通して、地の物を食べる事。そして実際に見て感じ、伝える事。皆さんの心からこの大きな災害が風化してしまわぬように。

そして新幹線に乗り込むなりクタクタになったジジイは早々に居眠りに入る。ぼくは道中お世話になったジジイとの思い出を振り返り、早く大切な人の元へ帰りたいと強く思うのであった。

またいつか、必ず、いくぜ東北。



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text/photo rocky

【東北三陸ジジイツーリング】動画も是非ご覧ください。

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